PISAの読解力が高いフィンランドの子どもは「生活満足度」も高いことが明らかに

経済協力開発機構(OECD)が12月3日に発表した国際学習到達度調査(PISA)で、フィンランドは参加国のなかで唯一、読解力と生活満足度の両方が高い国となった。国連の「世界幸福度ランキング」で2年連続トップに輝いているフィンランドだが、未来を担う子ども世代も幸せな日常生活を送っていることが裏付けられた。

2018年には学力調査とともに、生徒の健康や生活満足度、学習環境などについても焦点が当てられた。その結果、1から10の段階評価で平均が7.61点と、生徒個人の生活に対する満足度がかなり高いことがわかった。また高い生活満足度は高い読解力と比例しており、それが他国・他地域と比べると際立っていた。たとえば成績が高かったアジアの国はすべて生活満足度が低く、生活満足度が高かった他国の大半は成績が低いという結果だった。

2018年のPISA は、79カ国・地域の15歳計約60万人を対象に実施。数学的リテラシー、科学的リテラシー、読解力の3分野で行われた。読解力の低下傾向はOECD加盟国全体で見受けられたものの、フィンランドは上位にランクインし、総合順位でも7位(520点)となった。前回の2015年の調査と比べると、数学的リテラシーでも成績はさほど変わらず、総合順位では16位(507点)。科学的リテラシーに関しては、総合順位で見ると6位(522点)と高いものの、2006年や2015年の調査と比べると低下した。

女子は男子より好成績

読解力における男女差が大きいのも、フィンランドの特徴のひとつだ。今回もOECD加盟国の中で最も高い国のひとつで、OECD平均が30点に対し、フィンランドの女子生徒は52点だった。一方、読解力が低い男子生徒の数は2009年の調査以降増え続けている。低得点者層自体の増加が顕著で、自ら学び、社会に参加するために必要な読解力が衰えている若者が増えていることを示唆している。

保護者の経済的・教育的背景や職業は、全参加国の子どもの成績に影響していた。フィンランドの場合、社会経済的背景の読解力における上位層と下位層の平均差が79点で、約2学年分の差に相当している。

PISA調査は7回目に突入

PISAは3年ごとに行う調査で、今回で7回目。フィンランドでは、フィンランド教育研究所とヘルシンキ大学の教育評価コンソーシアムによって実施され、義務教育を受けている5649人の生徒が参加した。今回の調査結果を受けて、リ・アンデルソン教育大臣はこう述べている。「フィンランドでは、誰もが学ぶ権利があります。個々の人生や仕事において必要なスキルを学ぶ機会を保障できれば、フィンランドは成功し続けるでしょう」