フィンランドのハッカネン国防大臣の訪日に防衛関連企業が同行
フィンランドのアンティ・ハッカネン国防大臣は10月の最終週、二国間の関係強化と防衛・技術分野での協力拡大を進めるため来日する。今回の訪問には、防衛・デュアルユース(軍民両用)技術の分野で先端的な取り組みを進める約20の企業・団体も同行する。
東京に滞在する10月26~27日、ハッカネン国防大臣は小泉進次郎防衛大臣、茂木敏充外務大臣と会談する予定。フィンランド企業・団体は28日まで滞在し、ビジネスセミナーや会合などで最先端の技術を紹介するとともに、日本市場での新たなビジネス機会を模索する。
今回の訪問は、ここ数年着実に進んできた二国間防衛協力をさらに深めるものになる。両国の防衛関係における重要な節目となったのが2025年6月。フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領と当時の石破茂首相が、政策対話を一段と深めるとともに、防衛装備品・技術移転に関する交渉を加速させることで一致したのだ。これを受けて、2026年2月にはデュアルユース・先端技術分野での協力強化に向けた共同声明が署名された。ハッカネン国防大臣は、訪日を前にこう語っている。「欧州とインド太平洋地域の安全保障を、もはや別々の問題として捉えることはできない。基本的な原則を共有する国々との連携は、国家防衛にとって不可欠なものになっている」
フィンランドと日本の継続的な協議によって、すでに具体的な成果も得られている。その代表例が、フィンランドのパトリア社が手掛ける装輪装甲車の日本でのライセンス生産だ。昨年には、日本で製造された初号機が自衛隊に納入された。実は2025年は、フィンランドの防衛装備品の輸出先として、日本が2番目に大きな市場となった。協働はこれにとどまらない。「協力分野は今、デュアルユースやディープテックにも広がっている。宇宙、無人システム、航空、そして信頼性の高いデジタルソリューションなどだ」と、ハッカネン国防大臣は述べている。
装輪装甲車やAI、サイバーセキュリティ、デュアルユース
フィンランドの強みは「包括的安全保障」という、防衛・危機管理に社会全体で取り組む考え方と、民間でも防衛でも使えるデュアルユース技術の普及にある。そして日本も、フィンランドのこうした特徴に関心を示している。今回訪日するフィンランド企業のいくつかをハイライトすると:
Patria 装甲車両や兵器システムを含む防衛装備・システムの開発・供給を行うとともに、長期的な維持整備・サポートも提供。100年以上にわたる経験を有し、フィンランドをはじめとした欧州諸国の軍に加え、日本の防衛関連機関とも協力関係にある。最近では、フィンランドにあるPatria AMV装甲車を、7,800キロメートル以上離れた東京から遠隔操作する実証に成功した。この遠隔操作の仕組みは将来的に、無人での輸送業務や車列の運行、自律的なウェイポイント航行などの用途にも活用できる。patriagroup.com
ICEYE 世界最大級の民間保有による合成開口レーダー(SAR)衛星コンステレーションを保有・運用。雲や煙を透過して観測可能で、昼夜や天候に関係なく画像を収集・提供できる。ICEYEの技術は世界各地で利用されており、たとえばウクライナ軍には、地上で起きている事象をより迅速かつ正確に把握できるように衛星画像を提供している。日本の衛星コンステレーションの構築も進められ、IHIは衛星4基を購入することで合意、そのうち2基はすでに運用されている。残る2基は、2027年第1四半期に打ち上げられる予定。ICEYEは現在、東京・渋谷のオフィスで衛星を製造している。
iceye.com
Sensofusion 「ロボットの脅威から人々を守ること」を企業理念に、無許可または敵対的なドローンを検知・追跡し、対処するためのシステムを開発。接近するドローンについて警告するとともに、電子的な対抗措置や迎撃システムを用いてドローンへの対処が可能。世界で1,000基を超えるシステムを納入し、そのうち100基以上が2022年以降にウクライナで使用されている。日本では、全国規模の空域監視と対ドローン防御の提供などを提案している。sensofusion.com
日本を訪問するその他のフィンランド企業・団体
Alaris COJOT 戦術通信や電子戦、スペクトラム監視用のアンテナを設計・開発。広帯域・狭帯域の各種アンテナを取りそろえ、移動体搭載用から固定施設設置用まで、現場での運用実績を持つ幅広いアンテナソリューションを提供している。cojot.alaris.tech
BEVENIC 先端エレクトロニクス、フォトニクス、防衛ソリューションが専門。防衛分野では、無人システム向けの光ファイバー通信ソリューション、兵器用付属品、その他のミッションクリティカルな技術を開発・製造している。bevenic.com
Bittium 防衛・安全保障分野向けの戦術通信およびセキュア通信ソリューションを提供。40年以上にわたる経験を有し、フィンランド国防軍をはじめ欧州各国の軍および政府機関にサービスを展開している。bittium.com
Digital Defence Ecosystem フィンランドを代表する防衛・テクノロジー企業と研究機関で構成されるネットワーク。産業と輸出を振興し、デュアルユース技術と防衛技術の間にある隔たりを埋め、レジリエンスを強化することを目指している。digitaldefence.fi
Distance Technologies 計算論的知覚に基づき、テクノロジーを通じて世界を見る新しい方法を開発。同社のビジュアル・インテリジェンス技術は、次世代のライトフィールドHUD、ヘルメット搭載型AR、防衛車両、ハンディ型システムなど、幅広い分野を支えている。distance.tech
Finnish Defence House 防衛分野のイノベーションを推進するベンチャースタジオ。実戦で検証された現場ニーズや学術研究、調達規模に対応できる投資可能な企業まで、イノベーションプロセス全体を自社で担っている。defencehouse.fi
FORCIT Defence 低感度弾薬ソリューションに特に強みを持つ先端防衛システムを開発。陸上・海上の防衛システムも手掛けており、弾薬、接近阻止・領域拒否(A2/AD)、機雷の無力化に関するソリューションを提供している。forcitdefence.com
KNL レジリエントな通信、デジタル戦場の接続性、電子戦、長距離戦術ネットワークが専門。同社のソフトウェア無線機と相互運用可能なソリューションは、マルチドメイン環境において、徒歩・車載での運用から無人・自律システムまで、安全で信頼性の高い見通し外通信を実現。knl.fi
Kuva Space 画期的な宇宙・AI技術を活用して、世界最大規模のハイパースペクトル衛星コンステレーションを設計・製造・運用。 kuvaspace.com
Marine Alutech 世界市場をリードする戦闘艇の設計・製造企業の一つ。 marinealutech.com
Nokia AI時代のコネクティビティを支えるグローバルリーダー。モバイル、固定系、クラウドネットワークにおける幅広い専門性を活かし、通信事業者、企業、政府機関、防衛関連組織に対し、安全かつ信頼性が高く持続可能な通信ソリューションを提供。nokia.com
Robonic 空気圧式の無人航空機システム(UAS)発射システムのグローバルサプライヤー。無人航空機(UAV)、一方向型エフェクター、標的ドローン、その他の無人航空機向けに、費用対効果が高く、柔軟性や信頼性に優れた発射ソリューションを提供。robonic.fi
Savox 世界各地の防衛、法執行、消防・救助、産業市場向けに幅広い通信機器・ソリューションを提供。製品ポートフォリオは、戦術通信コントローラー、高性能聴覚保護装置、堅牢型ICT機器、捜索救難システム、次世代インターコム・映像ソリューションなど多岐にわたる。savox.com
TactoTek 軽量な成形ドローンフレームに電気機能を一体化し、ドローンの最終組立工程における配線・はんだ付け・ねじ締結を不要にする技術を開発。tactotek.com
Varjo 航空宇宙、防衛、海事、エンジニアリング、研究など、高度な性能と信頼性が求められる分野に向けて、世界最先端のVR/XRテクノロジーを提供することに注力。同社の技術は世界各地の120以上の防衛関連プログラムで導入されている。varjo.com
VTT 通信、量子、宇宙技術などの戦略的重要分野における研究開発をリードする、欧州有数の研究機関。具体的には6G、データ融合・分析、サイバーセキュリティ、マイクロエレクトロニクス開発、ハイパースペクトルイメージングなどに取り組む。VTTが開発する、フィンランドの最先端民生技術が持つデュアルユースの可能性は、防衛産業に大きな優位性をもたらす。vttresearch.com
Xiphera FPGAおよびSoCプラットフォーム向けに、従来型暗号から耐量子暗号(PQC)まで含むハードウェアベースの暗号IPコアを提供。欧州宇宙機関(ESA)およびFrontgrade Gaisler社と協力し、耐放射線半導体向けの耐量子セキュリティソリューションを共同開発。xiphera.com