EU市民の1%にAIの知識を!フィンランドがAIの基礎を学べる無料コースを提供

今年末までEU議長国を務めるフィンランドは、EU市民へ「最後のプレゼント」として、AI(人口知能)の基礎を学べるオンラインコースを無料で提供すると発表した。受講期間は2020年から2021年まで。コースは英語を含むEUの公用語すべてに翻訳され、言葉を理解できれば日本からも受講可能。目的は、変わりゆく仕事の形態に対応し、「デジタルに強いEU」という立場を強化するためだ。

無料オンラインコースElements of AIは、ヘルシンキ大学とフィンランドのIT企業リアクター(Reaktor)によって開発された。年齢や学歴に関わらず、誰もがAIの基礎について学べる内容になっている。6つのセクションから構成され、各セクションにかかる時間は5時間~10時間ほど。コースを受講するのにプログラミングの基礎は必要ないが、技術的な知識がある受講者のほうが進度が早くなる。

Elements of AIはもともと、「フィンランドの人口1%にAIの知識を」をモットーに2018年に初めて無料提供された。この目標はたった数カ月で到達。今や110カ国以上の22万人以上がコースに登録し、年齢も20歳から75歳までと幅広い。経営者から保育・介護関係、医療関係、求職中の人々など、受講者はさまざまだ。

「今回のプロジェクトに投資する目的は3つあります。EU市民に、未来に必要なデジタル技能を身につけてもらうこと。AIに対する実用的な理解を深めること。またそうすることによって、欧州のデジタルリーダーシップを強化したいと考えています」と、ティモ・ハラッカ雇用大臣は言う。「EU市民誰もに、年齢や学歴に関わらず、生涯教育を継続的に受ける機会が与えられるべきです。フィンランドがEU議長国の任務を終える今、実体のある明確なものを贈りたいと思いました。デジタル読解力をどのように高めるのか、それはフィンランドをはじめとした欧州諸国が直面する緊急課題のひとつです」

フィンランドは、良質な教育制度と多数のハイテク企業があることで世界的に知られている。AIがもたらす課題に対応するため、積極的にAIの国家戦略も打ち出している。欧州委員会の「デジタル経済・社会インデックス2018」によると、フィンランドは欧州のなかでも最高レベルのデジタル技能を保有している一方、EU労働力人口の35%は大半の仕事に必要とされるデジタル技能の基礎が身についていないことが明らかになっている。

※注:2019 1210日に新しい内閣が発足し、現雇用大臣はトゥーラ・ハータイネン氏。

:リンク
Elements of AI 無料オンラインコース

https://www.elementsofai.com/(他のウェブサイトにリンク)

フィンランド経済雇用省サイトに掲載されたAIプログラムについて
https://tem.fi/en/artificial-intelligence-programme(他のウェブサイトにリンク)

フィンランドのEU議長国について
https://eu2019.fi/en/frontpage(他のウェブサイトにリンク)